知恵猫Q&A

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日本で「愛」の概念はいつからある?

日本で愛の概念はいつからありますか?

日本に「愛」の概念はいつからありますか?


日本における「愛」の概念の発祥については、明確な時期を特定するのは難しいですが、古代から愛に関連する概念は存在していました。


日本で「愛」の概念はいつからある?


愛について書かれた日本の文献で最古のものの一つは、「万葉集」です。これは8世紀に完成した日本最古の和歌集で、恋愛をテーマにした詩が多く含まれています。この時代には、「恋(こい)」や「思(おもい)」といった言葉が愛情を表すのに使われていました。


「万葉集」から有名な愛の和歌をいくつか紹介します。


山上憶良の和歌:
原文: 「君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな
意味: あなたのためなら、惜しくもないこの命さえ、長くあってほしいと願っています。


大伴旅人の和歌:
原文: 「我が袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし
意味: 私の袖は、潮が引いた沖の石のように、人は知らないけれど、涙で乾く間もないのです。


柿本人麻呂の和歌:
原文: 「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ
意味: 秋の田んぼの、仮の小屋の屋根が荒れて、わたしの袖は露に濡れ続けています。



これらの和歌は、愛情や恋の深い感情を、自然の景色や情景にたとえて表現しています。特に、恋の切なさや相手への思いを、袖が露や涙で濡れる様子にたとえる表現が多く見られます。これは、古代日本の文学において、感情を自然界の情景に託して表現する技法が好まれたことを示しています。


「愛」という言葉自体が日本で使われ始めたのは、やや後の時代とされています。中世以降、特に江戸時代に入ると、中国からの漢文文化の影響を受け、「愛」の字が使われるようになりました。しかし、この時代においても「愛」は現代のような広義の愛情を指す言葉として一般的には使われておらず、特定の文脈に限定されていた可能性があります。


古代から中世にかけての日本では、「恋」「情」「思い」などの言葉が愛情や親愛の感情を表現するために広く使われていました。これらの言葉は、特に和歌などの文学作品において、人々の感情を豊かに表現するために用いられていたのです。


したがって、「愛」という言葉が広く使われるようになったのは、比較的近代に入ってからのことであり、それ以前は別の言葉で愛情や親密な感情が表現されていたと考えられます。